苦闘すれば、仏性が見えてくる

【如何にして磨くべきか】

 すべての人間が仏性を持っているとはいうものの、ただおとなしく引っ込み思案に構えていては、仏性の輝きは現れてこない。

 

 もがき、苦しみながら、私たちは仏性を磨かなければならないのである。

 

 如何にして磨くべきか、仏性を磨くとは、どんな難関に出会ってもそれに負けず、必死に挑んでいくことである。

 

 このような行動で、私たち人間は誰でも成功を収めることができる。

 

 つまり、自分の願ったことが実現し、自分がなろうとしたものになれるのである。

 

 アメリカ第32代大統領になったフランクリン・ルーズベルトは、願望を抱き続けていれば必ずその通りになると言う信念をもって生き、事実その通りになった人物であった。

 

 ルーズベルトは、大学の法学部を卒業後、法律事務所を開いたが、それにしては、弁護士の仕事はほとんどせず、ほかの関係のないことばかりをしていたそうだ。

 

 これを訝しんだ友人が、ある日「せっかく法律事務所を開いたのに、君はどういうつもりなんだ」と聞いた。

 

 すると、ルーズベルトは次のように答えた。

 

 「将来、大統領になるための準備をしているんだよ」友人は、ルーズベルトの頭がおかしくなったと思わざるを得なかった。

 

 ところが、そうこうしている間に、ルーズベルトはなんと小児麻痺にかかって歩けなくなってしまった。

 

 大人なのに小児麻痺?と驚かれるかもしれないが、当時は今のように効果のある小児麻痺のワクチンはなかった。

 

 そのため大流行し、老若男女を問わずこの病気にかかったのである。

 

 ルーズベルトも40歳近くの年齢で小児麻痺に感染してしまったのだ。

 

 不幸にも突然、身体障害者となったルーズベルトにとって、もはや大統領になる夢は消えてしまったかに見えた。

 

 しかし、彼はあくまでも自分の当初の願望をあきらめなかった。

 

 杖を使っての厳しいリハビリテーションに耐えた2年間、「それでも俺は大統領になるんだ」と心の中で叫び続けたのだった。

 

 そしてついに彼は念願どおり大統領になった。

 

 しかも、車椅子に乗ってという不自由な体でである。

 

 しかも彼は、平凡な大統領では終わらなかった。

 

 ルーズベルトが大統領に就任したのは1933年だったが、1945年4月、ドイツ降伏直前に死亡するまで、12年間も大統領の地位は揺るがなかったのである。

 

 この時期は世界大戦が荒れ狂った時代である。

 

 国家元首としては一番苦しい時期に当たる。

 

 また、アメリカ大統領は普通1回のみ再選を許されるという原則がある。

 

 つまり、最高8年間の任期しかない。

 

 それなのに、ルーズベルトは12年間も大統領の地位にあった。