本当の真理は見えないところにある

【私達はその存在を疑ってしまう】

 私達の誰もが持っている仏性という素晴らしい力は、普段、世間智や理性といったゴミやホコリにうず高く覆われていて、なかなか見ることができない。

 

 そのために、私達はその存在さえも疑ってしまう。

 

 しかし、この世には私達がいつも目にすることができる所謂、常識のほかにそれとは異なる真実というものがある。

 

 私たちは、多くの場合この常識を本当の真理だと思い込んでいる。

 

 だが、実は常識はしばしば本当の真理ではない。

 

 このことについては、次のような説明をすれば、納得がいくだろう。

 

 天文学者ガリレオ・ガリレイは小学生でも知っている歴史上の人物だ。

 

 彼は「地動説」を唱えて、その当時の支配層の迫害を受けた。

 

 そして、「それでも地球は回っている」という名言を残している。

 

 ガリレオは、天文学上の真理を発見した人とされている。

 

 もちろん、ガリレオが登場したから、急に地球が太陽の周りを回り始めたのではない。

 

 つまり、地球の周りを太陽が回っているのではなく、逆に地球が太陽の周りを回っているのだという真理は、ガリレオがそれを説明した時よりも遥か昔、人間がまだ地球上に登場していない太古から、厳然と存在していたのだ。

 

 ただ、人間はなかなかそのことに気づかなかった。

 

 これは私たちが目に見える現象世界にばかり目を向けていたためだ。

 

 日常の生活感覚からすれば、地球が太陽の周りを回っているとはとても信じられないことだからである。

 

 しかし、地動説をとなえたコペルニクスガリレオの登場によって、はじめて私たちは、今までの常識が誤っていたことを知り、本当の真理があることを知ることができたのだ。

 

 つまり、ガリレオ・ガリレイはそれ以前の常識を覆したのである。

 

 このように、私たちが現に生きている世界で考えている常識とは、一見まことしやかに思えるが、実はまやかしであり、本当の真理はまだ私たちの目には見えないところにあるということが多い。

 

 これは単に科学上、まだ多くの真理が発見されずに残っているというだけではない。

 

 人生においても、私たちの気づかない見えざる真理がはっきりあるということだ。